Roine Stolt's Solo works


Roine Stolt名義でのソロ・アルバムは意外に少なくて、今のところ以下の3枚しか思いつかない。…と書いてしまった次の日に、「Fantasia」というソロ名義があったのを思い出して大慌て(^^; 既に読んでしまった人がいたら申し訳ありません。後にFANTASIAというグループができたので、つい混同してしまいました。

というわけで、おびただしい数の音楽活動を行っている割にはソロ名義というのが少ないRoineだが、彼にとっては、"バンドであること"が大切なような気がする。以前のインタビューでも、クレジットに自分の名前ばかり載るのは好きじゃないと言っていたことがある。ソロ・アルバムになると、ギター、ヴォーカルはもちろん、ベース、キーボードからエンジニアリング、プロデュース、場合によってはジャケットのアートワークまでが彼の名前になってしまう事があるからだ。その為、彼はDon Azzaroというもう一つの名前をわざわざ使っていたことさえある。
(2011/2/26)
2005
Wall Street Voodoo
Belle Antique MAR-051091-2


Musicians:
Roine Stolt: Lead Vocal ,Electric & Acoustic Guitars & Percussion
Neal Morse: Lead Vocal & Hammond Organ(元SPOCK'S BEARD)
Slim Pothead: Wurlizer Piano,Mini Moog & Hammond Organ
Victor Woof: Fender Bass
Marcus Liliequist: Drumkit
Hasse Bruniusson: Percussion
Gonzo Geffen: Congas & Percussion & Loop treatments

Produced by Roine Stolt 2005

Disc 1:
The Observer (11:05)
Head Above Water* (5:25)
Dirt (8:15)
Everyone Wants To Rule The World* (4:05)
Spirit Of The Rebel (6:10)
Unforgiven (3:00)
Dog With A Million Bones (8:10)
Sex Kills (Joni Mitchell) (7:20)
Outcast (7:50)

Disc 2:
The Unwanted (9:00)
Remember (6:55)
It's All About Money (8:05)
Everybody Is Trying To Sell You Something (6:55)
Hotrod (The Atomic Wrestler) (9:10)
Mercy (2:40)
People That Have The Power To Shape The Future (11:05)
当時、Roineはリリース前から「これはプログレ・アルバムじゃない。基本的にブルーズ・ロックのアルバムだ。」と何度も言っていたにもかかわらず、「こんなのプログレじゃない」と言われて気の毒だった。ということで、本作の購入を考えておられる方は気を付けて頂きたい。

THE FLOWER KINGS結成以来約10年間をプログレ一筋に走り続けてきたRoineが、ふと立ち止まって自身のルーツを振り返ったような作品なのかもしれない。ギターを思う存分フィーチャーしたブルージー・サウンドはナチュラルに響く。しかし、1曲1曲違ったアプローチをするカラフルなギター・サウンドは、それだけでは語れないような気がする。やはり、全体的に見てプログレッシヴ的と言えるのかもしれない。
Roineのリード・ヴォーカルもたっぷりと聴けるので、Roine信者には嬉しいアルバムだ。

【曲について】
Dirtは、少しプログレっぽいところもある曲で、TFK風のロマンティックなメロディもある。ロイネが「妖精の埃もちゃんと残してあるよ。」と言っていたのが、この曲なのかと思ったりする。中盤のギター・ソロは数ある名演奏の中でも絶品。
また、Roineが尊敬するJoni MitchellのカバーSex Killsはパーカッションやティンパニを効果的に使用したアレンジで、ドラマティックな仕上がりになっているし、Disc1のラストを飾るOutcastは、ギターのシンプルな生音と抑え気味のRoineのヴォーカルがマッチしている。
他にも、彼にしてはとても珍しい、ジミー・ペイジ風のリフがかっこいいSpirit Of The Rebelや、キャッチーなメロディが親しみやすいRemember、ファンキーでちょっとワウワウがかかったようなノリの良いギターが面白いEverybody Is Trying To Sell You Somethingなど聴きどころは多い。

【ミュージシャンについて】
TRANSATLANTICを通じて交流のあるNeal Morseが2曲(*印)でリード・ヴォーカルを担当。彼はハモンド・オルガンやバッキング・ヴォーカルでも参加して本作品を彩っている。

※この時、RoineとNealは互いのソロ・アルバムに参加した。Neal Morseの「?」(2005)では、Roineの存在感があまりなかったため、後にNealのファンクラブInner CircleでRoineが目立つようにアレンジされたリミックス・バージョン「? Roine's Love Mix」も配布された(2009)。

この作品にJonas Reingoldの紹介で参加したMarcus Liliequistは、次の年に正式にTFKのドラマーとなった。

上記の参加ミュージシャン・リストにSlim Pothead(keys)、Victor Woof(b)、Gonzo Geffen(per.)なる人物が参加しているが、Roineによると、彼らは「契約の関係で、名前が公表できない人たち」だそうだ。未だにその正体が明かされていない彼らだが、もしかしたらRoine本人も含まれているのかも・・・という憶測もあったが真相はいかに。。

【タイトルについて】
「Wall Street Voodoo」というタイトルは、Disc2-3)It's All About Moneyの歌詞から来ている。Roineによると、「タイトルは想像を掻き立てるようなものにしたかった。"VooDoo"という言葉でルーツというスタイルや"Wall Street"という要素を強調したかった。何故なら、新しいミレニアムにおける、ブルーズのアップデートされたバージョンだからだ。いくつかの歌詞は現代人がお金の魅力に取りつかれて全てをビジネスにしてしまう事を歌っている。」とのこと。(2011/2/23)

YouTubeで聴いてみる♪Outcast ♪Remember

1998

Hydrophonia
Bell Antique MAR-98460


Musicians:
Roine Stolt - Gutars, Bass, Keyboards, Percussion
Jaime Salazar - Drumkit, Percussion
Ulf Wallander - Soprano Saxophone

Produced by Don Azzaro

Tracks:
Cosmic Lodge (7:13)
Shipbuilding (5:51)
Little Cottage by the Sea (4:55)
Wreck of HMS Nemesis (11:55)
Bizarre Seahorse Sex Attack (6:00)
Oceanna Baby Dolphin (3:26)
Nuclear Nemo (6:27)
Hydrophonia (6:11)
Lobsterland Groove (6:19)
Seafood Kitchen Thing (9:25)
ドラムのJaime SalazarとサックスのUlf Wallander以外はすべてRoine Stolt本人が演奏している。ギター中心のシンフォニックなインスト・アルバム。
シンフォでギター中心というのも珍しいかもしれないが、「パラダイス」を感じさせる、どこか能天気な明るさも当時のプログレとしては珍しいかもしれない。Hydrophoniaという造語から想像できるように、一貫して水に関するテーマがあるが、「水」そのものよりも、海辺のリゾートを感じさせるリラックスしたムードと温かみのあるサウンドが魅力的だ。しかし、中にはJaimeのドラムが効いたビートのあるロック・オリエンテッドな曲や、オリエンタルなテイストの曲(もしかしたら、オリエンタルではなく、スウェーデンのフォーク・ミュージック風なのかもしれない)も配し、アルバム全体にメリハリがあって楽しめる。(2011/2/27)

YouTubeで聴いてみる♪ShipbuildingLobsterland Groove

1994
The Flower King
Belle Antique MAR-95156



Roine Stoltのソロ・アルバムですが、THE FLOWER KINGS結成の
きっかけとなった記念ずべきアルバムなので、THE FLOWER KINGSの
ディスコグラフィーに入れました。こちらをどうぞ。
1979
Roine Stolt / Fantasia
Label / Love Cat.# SLLP06 (LP) (1979)


Musicians:
Mats Löfgren / vocals
Janne Åhman / vocals
Ninna Hogman / vocals
Håkan Hultman / drums, vocals
Mats Lindberg / bass, moog, taurus pedals, tubular bells
Per Andreasson / keyboards
Hans Bruniusson / drums, mallets
Andreas Zeitler / alto saxophone
Roine Stolt / 6 & 12 string electric guitars, acoustic guitars, keyboards, vocals, percussion, guitar synthesizer


Tracks:
Nytt Blod (4:33)
Som Svalor Mot Skyn (3:52)
Samhällets Olycksbarn (6:07)
Dödens Ansikte (6:42)
Café Caruso (2:45)
Continental Carneval (3:54)
Silversurfaren (3:40)
Grodballetten (4:52)
Giganternas Kamp (6:42)
Järnhästen (4:28)

*

- Bonus Tracks -
Kinesmarknad (3:42)
Mr. Evergreen (3:44)
Lejonhjärta (4:55)

Total Time: 59:56
カイパ脱退後のロイネの初ソロ・アルバム。元カイパのMats Lofgren、Mats Lindbergらも参加していますが、カイパとは違い、プログレ・シンフォ的な部分はあまり感じられない。カイパの方も、'78の「Solo」リリース後は路線を変更しているので、時代的な背景があったのだと思う。しかし、2分台〜6分台の短い曲ながら、「ポップ・ソング」という一言では終わらないRoineらしさも時折垣間見られる。おそらく時代の流行と、自分自身がやりたいことの狭間で、試行錯誤をしながら作り上げた最初のアルバムなのだろう。やりたい事が多すぎて、なかなかまとまらないといった感じも、当初からあったのだなあ・・・と思ったり。

Roineは、ギター・キーボード・ベース、バッキング・ヴォーカルで参加しているが、プレイヤーとしてよりは、作曲/プロデュース方面に力を入れているように感じられる。リリース当時22,3歳であったことを考えると、こういったいくつかの作品が後のTHE FLOWER KINGSを含む、全てのRoine Stoltの音楽活動の基盤となっていったのだと思う。

なお、アルバム収録後に、ベースのMats Lindbergが、カイパのレコーディングに戻っていったので、ライブの為に弟のMichael Stolt(当時15歳)もベースで参加したそうだ。(2011/2/26)

TRANSATLANTIC Roine solo Roine's other works Tomas Solo



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