フラワー・キングスってどんなバンド?

 Roine Stolt(ロイネ・ストルト)は1956年スウェーデンのウプサラという都市に生まれ、少年時代より音楽に親しんでいたそうです。1974年、17歳と言う若さでKAIPAというバンドのギターリストに抜擢。KAIPAは1983年に解散するまでに6枚のアルバムを発表しました。

 Roine Stoltは1978年までKAIPAに在籍。当時KAIPAは、カンジナビアで年間およそ100ギグをこなすほどの人気があったそうです。
KAIPAは80年代に入ってから日本にも紹介され、スウェーデン伝説のシンフォニック・ロック・バンドとして知られるようになりました。

 その後、Roine Stoltは自身のバンドやプロジェクト、多くのミュージシャンとのセッション、プロデュースなど多忙な日々を送ることになります。しかし、80年代はRoine本人の好きな音楽をやれる時代ではなかったでしょう。

 1994年、Roine Stoltはソロ・アルバム「The Flower King」を発表。このアルバムは、当時の流行に全くとらわれず、ロイネ自身がやりたかった70年代の音楽をベースにしたものでしたが、予想に反して、日本など海外の70年代好きのロック・ファンから熱い支持を受けることになります。

 1994年8月20日、地元ウプサラで行われたThe Crimson Society Progressive Festivalで、「The Flower King」の曲を急遽、演奏することに。たった4時間のリハーサルだったため、本人によると、当然のことながら演奏自体はあまり上手くいかなかったそうです。しかし、説明しがたい素晴らしい感動があり、何よりも聴衆が喜んでくれたのを感じ、それが、バンドとしてのTHE FLOWER KINGSを始動させるきっかけとなったようです

 1995年、キーボディストに親友のTomas Bodin(トマス・ボディーン)、ベーシストに実弟のMichael Stolt(マイケル・ストルト)、ドラムにMIDNIGHT SUNやBAD HABITでも活躍しているJaime Salazar(ハイメ・サラザール)という布陣で、「Back in the World of Adventures」を発表。これが事実上、THE FLOWER KINGSの1stアルバムとなります。
その数ヵ月後には2ndアルバム「Retropolis」を立て続けに発表しますが、それは1stアルバムの"leftover(残り物)"を使用したがゆえのスピード・リリースでした。もちろん、内容は残り物とは思えない出来栄えでした。

 1997年「Stardust We Are」からヴォーカル&ギターのHasse Fröberg(ハッセ・フレベリ)が正式加入。彼はソロ・アルバム「The Flower King」に参加していました。

 1999年3月、15~16日・東京のOn Air West、18日・大阪のクラブ・クアトロという日程で初来日公演が行われました。当時は、まだまだ知名度が低かった為、観客が少なかったのですが、その感動的なパフォーマンスでファンを魅了しました。
 
 2000年、MIDNIGHT SUNなどで活躍のベーシストJonas Reingold(ヨナス・レインゴールド)が、Michael Stoltに代わって正式加入。「SpaceRevolver」を発表します。

 また、2001年には、「The Rainmaker」の録音を最後にドラムのJaime Slazar(ハイメ・サラザール)が脱退し、Zoltan Csorsz(ソルタン・チョース)が加入。ライブでのパッションが更に増強されることになります。

 2002年発表のアルバム「Unfold the Future」では、同じスウェーデン出身のバンドPAIN OF SALVATIONのDaniel Gildenlow(ダニエル・ギルデンロウ)が掛け持ちで加入し、更に広がりを持った世界を表現するようになりました。
Danielは、「Adam & Eve」(2004)まで在籍。ライヴDVD「Meet the Flower Kings」(2003)でも大活躍を見せてくれました。

 Daniel脱退後の2005年は、Roine、Tomas、Jonasと、新しいドラマーMarcus Liliequist(マーカス・リリィクイスト)という4人のインスト・チームを結成。CIRCUS BRIMSTONEと名乗ってツアーを行い、この時の音源を収録したライヴ・アルバム「Live - Brim Stoned in Europe」も発表しました。

 2006年、新しいドラマーとして、CIRCUS BRIMSTONEに参加したMarcus Liliequist(マーカス・リリィクイスト)を迎え、「Paradox Hotel」を発表。2枚組ながら、よりポップでキャッチーな側面を見せます。このアルバムに伴うツアーDVDは、異例速さでリリースされ、そのタイトルも「Instant Delivery」でした。

 2007年には、比較的短めの曲を集めたベスト・アルバム「The Road Back Home」を発表しました。

 2008年、ライヴ・アルバム「Carpe Diem」発表後、2009年1月のヘルシキン公演を最後にバンドは活動休止に入りました。

 活動休止中の2009年から2011年にかけて、各メンバーは、それぞれのバンドで活躍していました。

 Roine Stoltは、スーパー・グループ、TRANSATLANTICの再始動、AGENTS OF MERCYの結成。Hasse Frobergは、Hasse Froberg and Musical Companion(HFMC)を結成。Jonas Reingoldは自身のバンドKARMAKANICで活躍。Tomas Bodinは、ソロ・アルバム「I Am」に続く「You Are」を、EGGS & DOGSのバンド名義で発表しました。
本家THE FLOWER KINGS休止といえども、各メンバーは多忙な日々を送り、ファンを楽しませてくれました。

 2012年、やっとファン待望のTHE FLOWER KINGSが再始動。ドラマーにドイツからFelix Lehrmannを迎え、よりパワフルに蘇りました。

 2013年1月11~12日・川崎のクラブ・チッタにて、14年ぶりの再来日が叶いました。今回の来日では、両日ソールド・アウト。満杯の観客の前で、圧巻のパフォーマンスを見せてくれました。
 彼らの演奏は、「観客を楽しませる」ことを第一に考えているように思えます。決して「テクニックを披露するための楽曲」ではなく、あくまで「表現」にこだわり、「心から音楽を届ける」という姿勢が感動を呼ぶのだと思います。

 今後も彼らの活躍を期待したいと思います。

2013/01/23
管理人の長めのつぶやき

 フラワー・キングスが、1999年に初来日したときは、知る人ぞ知るバンドという感じでした。一部のプログレマニアさんが、「へー、あのカイパのロイネがね。」とか、「ロイネ、まだやってたんだ。プログレ好きなんだねー。」という感じ。当時は新世代のプログレ・バンドを観るというよりは、むしろ珍しいもの見たさでライヴに足を運んだ方も多いのではないかと思います。私はといえば、CDを聴く限り悪くないし、スウェーデンなんて遠い国から来てくれるんだから、見ておこうかな~という軽い気持ちでライヴを見に行きました。その時受けた衝撃については、書き始めると長くなるのですが、とにかく何でこんなに好きになったのか全く理由が分かりませんでした。

 フラワー・キングスが、その後も精進(?)して、どんどんパワー・アップして行ったのはご存知の通りですが、当時は、こんなに凄いことになるとは予想はしていませんでした。

 好きなバンドが、毎年のようにアルバムをリリースしてくれて、それが、毎回毎回素晴らしい!・・・なんて幸せなんだろうと、いつも思っていました・・・ただ、彼らのライヴを観ることだけは長年かないませんでしたが。

こうして、2013年に彼らの再来日が大成功のうちに終わったことは、まるで夢のようですが、それもバンドがずーっと頑張ってくれていたおかげです。そんなバンドを好きになった私はとてもラッキーだったと思っています。(でもね、音楽を、それも自分の志す音楽を信念を曲げないで続ける事って並大抵の事ではないと思ってます。)

 今のプログレ・バンドは、70年代の5大バンド・フォロワーよりもフラワー・キングス・フォロワーのほうが多いのではないかという気さえします。この辺、なんの根拠もないカンなのでアテになりませんが(^^;
 でも、現代のプログレ界においては、影響力のあるバンドなのは事実だと思います。多くのミュージシャンからも熱いリスペクトを受けているんだなー、と感じています。

2013/01/24


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